〜アートで子どもが変わるとき〜

何だろう・・・。

あれ、どこからかギターの音色が聴こえてきたよ。

「こんにちは。スマイリングホスピタルジャパンです。

ギターと歌を聴いてね」

アーティストが病室に入ってきました。

今日はオトイロクレヨンの久末冴子さんと平原謙吾さんの日。

看護師さんに

「聴こうね〜」

とベッド上に座らされた2歳くらいの男の子。

「何だろう」

ポカンと固まっています。

見たことない人が病室に入ってきたので少し緊張したのかな。

不思議そうにアーティストを見ています。

しばらくは表情を変えずに聴き入っていました。

多分この子も聞いたことがある

♪ はらぺこあおむし。

歌う人

読む人によって全然違うから

同じお話でも何度聞いても新鮮です。

絵本をめくりながらの冴子さんの声は

とっても生き生きしていて

とにかく明るい。

そして深くて胸に染み入ります。

調子の良いギターのストロークが

歌声に寄り添うかのように優しく

病室全体を包み込みます。

そんな様子につられたのでしょう。

愉快な、でもどこかゆったりとした調べに

心も身体もほぐれ、

そのうち手を動かし

ベビーチェアのテーブルを叩き出し

身体もゆらゆらと揺らし始めました。

その表情はすっかり和らいで

身体全体がリラックスしていました。

退屈な入院生活、ワクワクや興奮が必要。

アートの可能性を感じます。

♬ ♪  ♫ ♬ ♪  ♫

外国の方の入院も多いこの病院。

とある病室に入ると

まさに今入院し説明をお母さんと一緒に受けているところで

言葉の壁も少しあるのでしょう、

とても不安そうにしていました。

アーティストの歌や演奏など

耳に入らない、といった様子でしたが

しばらくしてふと見ると

酔いしれているかのように

身体を揺らしてリズム感よく音楽に乗っています。

入院したその日にベッド上で演奏が聴ける!

アートによって

入院のイメージが変わるかもしれません。

別の病室。

3年生くらいの男の子。

お母さんと何やらゲーム中かな。おしゃべりかな。

「こんにちは。音楽聴いてくれるかな?」

え?何?

興味ない!

といった風に背中を向けていましたが

忍たま乱太郎

ドラえもん

などなど

とてもポップで楽しげな歌声が

聴こえてくるほどに

だんだんと正面を向いてくれるようになりました。

溌剌とした明るい歌声に引き込まれたようです。

知っている歌がキラッと瞳を輝かせました。

この少年もしまいにはキラキラの笑顔を見せてくれました。

アートは感動をくれ心をウキウキさせてくれます。

♬ ♪  ♫ ♬ ♪  ♫

アーティストによる報告書のコメントです。

病気と闘いながらのお子さんたち。

1分1秒でも笑顔の時間を増やせば、少しはいろんな痛みから離れる事ができる。

笑顔を増やすその近道は、一緒にその場を楽しむこと。

アーティストがいるだけで、普段の病棟を明るくする事ができる。

お子さんだけではなくて、

親御さんや病院のスタッフの皆さんにとっても楽しんでいただける時間にできればと思う。

アーティストは活動中に子どもの変化に気づき、活動を通して学びます。

子どもの変化が嬉しくて活動をより良いものにしていこうと向上心を持ち続けます。

子どもが本来持っている感性や柔軟性。

入院生活に埋もれさせてはならない。

アーティストの力があれば

感性や柔軟性という宝物を失うことなく引き出し

伸ばすことができるのです。

活動中に子どもが変わるとき

それはアーティストの学びと喜びのとき。

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〜病棟のシンボルツリー〜

入院中の子どもと叶えるプロジェクト

病棟の白い壁を明るくポップに変えよう!

クラウドファンディングで共感と支援を集めて実施したウォールステッカーは、SHJの理念全てを実現するものでした。

・この活動に興味を持ち参加したい、と思って自分からプレルームにやって来ること。

・塗り絵を選ぶこと、色を選ぶこと。

・自分なりのデザインを加えること。

これらは主体的な活動に繋がります。→→参加型活動

・ベッドサイドで制作する子はアーティストを独り占めできる

自分だけのための個別の時間です。→→個別活動

・プロのアーティストというファシリテーターのもと、

・ダイナミックなアートに没頭し、

・オリジナルのアイデアを駆使すること。

これらによって、創造力や感性を呼び覚まします。→→本物のアート

・ステッカー作りと貼る作業含めて3回連続の積み上げる活動

(さらに翌月は別のアーテイストがやってくる!)であること。

単発のイベントとは違う継続性がある→→定期活動

さらに完成した作品を並べてみんなで見合ったり

感想を話したりすることは

コミュニケーションの機会を作ります。

子供達が笑顔になり、お母さん、お父さんも子供の笑顔にホッとして・・

そんな家族の表情に子供も安心する・・。

このサイクルをみた保育士さんもこの活動の意義を実感し

プレイルームやベッドサイドは子どもたち主体の空間となります。

ここまではいつもの活動で毎回みられるスマイリング効果です。

しかしそこに、

「患者・家族」と「医療者」との

隔たりが生じてしまうのは否めない事実でした。

やむを得ないことです。

多忙な医療者に参加を呼びかける訳にもいかないからです。

治療優先だけど楽しい時間も必要。終わったら安静にね。

と言って業務に戻っていく看護師さん、お医者さん。

この雰囲気は子どもたちに自由と安心をプレゼントします。

治療の合間に夢中になれるアート時間があれば

闘病への力になるという観点で言えば、

これでも十分なのかもしれません。

しかしそこへ病棟のみんなが参加し、その結果(作品)がいつもの生活の中に溶け込む今回の試みは

さらに良質なスマイリング効果を生み、

病棟の理想像をイメージさせてくれました。

✔︎子どもが自分を誇らしく思い、孤独感を払拭する

自分が取り組み完成したものが集団生活の場を飾っているというのは、自信を失いがちな入院生活に自分自身を誇らしく思う気持ちを芽生えさせます。

たくさんの人が見てくれる得意な気持ちは達成感を生むでしょう。

並んだ作品の中に自分のものが一緒にあれば、仲間意識のようなものが芽生え、寂しさが払拭されます。

✔︎医療者と患者という分断がなくなる

病棟を明るくしようという1つの目的に向かってみんなで取り組むから一体感が生まれます。

同じ空間に身を置く仲間として、互いを知りいい関係でいられるようになります。

✔︎意図していなくても生まれてしまう上下関係を取り払う

子どもたちの作品がいつでも目にとまる環境では、医療者が子どもたちの一番大切な側面、豊かな感性やクリエイティビティに気づき意識し、これまで以上に患者を敬うことにつながります。

✔︎医療者の癒しや励みになる

子どもたちやお母さんたちが楽しむだけでなく、病棟の医療スタッフは、緊張の連続の中、廊下を歩けば子どもたちの作品に癒されます。

✔︎より豊かなコミュニケーションが生まれる

みんなで参加し完成させたアートが作るみんなの生活空間で、共通の話題が生まれ希薄になりがちな人間関係が深まっていきます。

✔︎病棟の中心的な癒しの空間ができる

みんなが自然に足を止め集まるシンボルツリー出現

子ども対象の取り組みですので、当然、子どもにスポットを当てた活動です。

しかし、医療者の心理を意識して空間づくりをすることは、患者である子どもたちに大きな影響を及ぼすのです。

まずお医者さんが笑っていると子どもたちは安心します。

楽しい!と感じる文化的な活動が定期的にあることで、

医療者が治療する立場で子どもたちを支えることに専念できるのが

SHJの意義の1つでもありますが、

実際の作品を、活動中たまたま通りかかって目にするというのとは違って

業務の最中にいつでも見られる、というのは医師にとって大きな喜びです。

医療へのモチベーションも高まるかもしれません。

🌳 🌳 🌳 🌳 🌳

小児病棟にいる医療者は例外なく子どもが大好きです。

大好きな子どもに元気になってほしくて頑張っているのに、

かえって子どもたちを泣かせてしまうことになるお医者さんですが、

このような活動があるから笑顔もたくさん見られる、

だから医師としても医療を頑張れる、

子どもたちが頑張っているのだから。

実際お医者さんたちの笑顔が増えているように思います。

”SHJの活動はなくてはならないもの”

と思っていただいている手応えを感じます。

今回のもう一つの派生効果は、

✔︎現場スタッフとSHJスタッフの関係が深まる

ということ。

一緒になってああでもない、こうでもないと

子どものよりより生活空間作りに夢中になった事前打ち合わせで感じたことです。

関わる人が一丸となって治療中の子どもの生きる喜びとトータルな成長を一番に願って

取り組んだ、言わば

「病棟リノベーション」

いろんな意味で大成功でした。

担当のアーティストMariさんに感謝

病棟スタッフに感謝

支援してくださった方たちに感謝

そして

子どもたちに感謝!!

他の病院で「うちでも!」という声があれば飛んでいきます!

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〜人工内耳のアーティスト〜・

聞こえに困難がある場合、人工内耳というのを使う場合があります。

耳の奥などに埋め込まれた部分に音をマイクで拾って送る、というものだそうです。

耳にかける装置を使う方は少なくありません。

音はどうやって認識されるのか、

調べてみました。

鼓膜の奥の方に蝸牛という文字通りかたつむりの形をした器官があります。

外耳道から入った音の振動が蝸牛に伝わり、

蝸牛の有毛細胞に刺激が加わると、

細胞が興奮して電気信号に変換されます。

この信号が聴神経へ伝わりさらに脳へ伝えられて音や声として認識されます。

(日本耳鼻咽喉科学会サイトを参考)

福岡のアーティストの紹介でFacebookで繋がった

吉本信行さんはプロのベーシストであり人工内耳ユーザー。

聴覚が不自由でありながら音楽をライフワークとして続けているその心意気とプロ意識に感動し、直接お会いする機会を楽しみにしていたところ今回下関からチャリティライブに演奏参加してくださいました。

あれ?耳に何もかけていない。

今は外しているのかな?

そう思っていると、

吉本さん、私の視線を感じたのか、

すかさず頭から丸いコード付きのデバイスを取り外し見せてくれました。

これ、磁石になっててくっつくんだよ。

皮下に埋め込んだ金属に装着すれば、電気信号に変えられた音が脳に直接伝えられるしくみだそうです。

両耳に施している吉本さんは

もともとベーシストですが、

数年前に聴覚を失い、失意の日々を過ごしたそうです。

自分の生きがいである音楽がもうできなくなるのか、と。

失って初めてその大切さに気づく、

とよく言いますが、

吉本さんも当たり前にあったはずの聴覚を失って初めてその大切さに気づき、

そしてそれを行動に移した人です。

失った人やもともとその機能を持たない人に諦めないで欲しいとの願いから

人工内耳の普及活動に駆り立てられたそうです。

もちろん音楽活動と並行して。

人工内耳を入れても音の聞こえ方は以前とは全く違う。音楽を聴いてもまるで電波の悪いラジオを聴いているよう。しかも音の高低もつかめない。

演奏するときは以前の勘や記憶を頼りにストリングスを奏でる。

セッションがきちんと合わせられているかは

メンバーの動き、合図で判断するそうです。

それぞれが違和感を感じていなそうであればそのまま続行していいのだと。

人工内耳をより良く使うためにはメインテナンスは必須だといいます。

音楽活動が鈍ってしまわないよう聴くトレーニングを毎日しているそう。

ライブが始まりました。

まず演奏の素晴らしさに感動。

しかもその日初めて会うというミュージシャンもいる中聴くことに不自由があるなどと

微塵も感じさせない、

むしろ忘れてしまうほどのスムーズな打ち合わせ

そして自然に音楽がスタート。

そのあとは言わずもがな

セッション進行のコミュニケーションツールは言葉でもなく

楽譜でもなく

音、リズム、進行、アイコンタクト・・。

音楽は

non verbal  communication=非言語コミュニケーション

と言いますが、

それは目の前でいつも繰り広げられる

ワクワクし感動する場面です。

吉本さんが生き生きと楽しそうに演奏しているのを見ると、さらに深く納得します。

吉本さんは言います。

世界中に、聴こえない子どもたちがたくさんいる。

僕も音を失って初めて音の素晴らしさが、わかった。人工内耳の手術をして、少しでもその素晴らしい音を取り戻そうと、毎日トレーニングしている。

日本各地、そして世界中いろんなところに行って、聴こえないひとたちに、人工内耳の手術を啓蒙したい。

僕には息子がいて、一生、息子の声は聞くことができないと思ってた。だけど、まさかまた息子の声が、聞けるなんて思ってもみなかった。もちろん、人工内耳を通してなので、覚えてる息子の声とはちがうけど。

だから、世界中回って、人工内耳の手術の啓蒙活動をするのは、僕のように、中途で聴こえなくなった人たちには、もう一度、あなたの愛するひとの声を聴いてくださいと伝えたいから。

生まれつき聴こえない子どもたちには、お母さんの声を聴かせてあげたい。

それには人工内耳の手術しか、いまのところ方法はないのです。

そんな気持ちで、世界中回ってるので、また、東京などでも見かけたら、よろしくねー素晴らしい出会いに感謝(^^)

こちらこそ!

全く明るい。

このノリとパッションでする普及活動

その影響は計り知れない気がします。

 

〜これがやりたかったんだ!- 2-〜

〈学びサポート通信〉

練馬区 Hさん宅にて音楽の授業がありました。

お母さんの妹夫妻がバージニアから訪問されていて参加。

ちょうどワシントンの桜が満開で・・、

という話題になり、

和子さん弾き語り”Country Road”

の後には

歌詞にある

West Verginia

Blue Ridge Mountains

Shenandoah River

などの地名が

かつて文芸翻訳をしていたころ下訳した 

Bill Brayson “Walk in the Woods”

“究極のアウトドア体験~北米アパラチア自然歩道を行く

に出てきた地名と重なって

会話が弾みました。

さてガレージバンドのアプリとi+padタッチャーで

音楽学び担当 石橋和子さんのピアノ演奏とアコースティックドラムでセッションを完成させたHさん(→2/6投稿「これがやりたかったんだ!」)。

今回はさらに応用させ

CとGの2つのコードで演奏できる曲

Twinkle Twinkle Little Star

What a Wonderful World

などを和子さんが提案。

 Hさんは今回、

ガレージバンドのエレキギターを選びました。

特にカッコ良かったのは

“Love Me Tender”

ハードロック調に変身した

ジャズのスタンダードナンバー。

エレキギター!これがやりたかったんだ!

とHさん。

テンポを掴んで

ピアノをしっかりリードしていました。

気持ちいい!

思わず和子さんも大興奮!

楽器アプリを使うようになってから

俄然、やりたかったことが次々に実現していること。

Hさんの頬がいつもに増して

高揚感にあふれていました。

リビングルームに集合した

家族や叔母さん夫妻、そしてSHJスタッフが

Hさんがエレキギターでリードする曲を

気持ち良く歌う全員参加型ライブ。

Sweet!

という言葉を何度も発していたバージニアからのお客さん。

支援機器を使ったセッションに感動し、

ワシントンにも沢山のライブハウスがあり

日本人のアーティストも出演しているが、

This is the most wonderful concert I’ve ever been to!

との嬉しいコメントをいただきました。

しかも夫妻はバージニアで学校の教員、そして知的部門の特別支援学校のスクールカウンセラーをされています。

支援機器を使った場面は初めて見たとのこと。

支援機器の発祥の地であるアメリカで、

同じ業界でさえその普及と認知度に

地域格差があると知り、驚きました。

職場では、子どもと向き合う時間が事務仕事に奪われているといった話にもなり、

日本の教育現場と同じことが起きていることも知りました。

同業であるために話が発展し場が盛り上がった今回のセッション。

Hさんが設定してくれた新しい出会いです。

SHJってそもそもどんなことをしているのか、の話に及ぶと

Hさんは

「〇〇社が支援してるよね」

などなど、説明に参加してくれて嬉しくなりました。

いつもと同じ学びサポートの展開に

ひと味違った場面が加わり

賑やかで有意義な時間となりました。

学びサポートレポート

石橋和子Official Website ~空と海の間に~

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〜塗り絵が生む主体性〜

なにやらプレイルームはしんと静かです。

子どもたちはテーブルに向かって何かに集中しています。

宿題かな?

ふと見ると一台のテーブルに色のないmariさんオリジナル塗り絵。

もう一台のテーブルにはカラフルな仕上がった塗り絵が何枚も置かれています。

病棟の白い壁をポップに変身プロジェクト

プロデューサーManabe Mariさんの

塗り絵ワークショップはいつでも大人気。

ただ白い画用紙に絵を描きましょう、

では取り掛かりにくいし、

描くことに苦手意識のある子はまったく楽しめません。

塗り絵というある程度の枠組みがあって、あとは自由、

というスタイルは子どもたちが選ぶところから楽しめる

人気の活動です。

絵を選ぶ。色を選ぶ。デザインを加える。

ここまでは全員が夢中の静かな個人活動。

塗るほどに子どもたちは自分の世界に没頭している様子です。

そして出来上がった作品を、友達と見せ合う場面から一気に賑やかになります。

作品がコミュニケーションのツールになって、いろんな展開があるのが制作活動の特徴です。

その時間が終われば作品をベッドサイドに飾って楽しんだり、夕方面会に来た家族に今日あったこととして話題にしたり。

男の子の人気は、

✏️カブトムシの塗り絵

・・・世界中のカブトムシが図鑑のようにズラ~りと並んでいますが、リアルでもありどこかポップなタッチ。

女の子の人気は、

🖍ハンドバッグの図鑑

・・・ハンドバッグのデザイナーになったような気分。

✏️お茶目な格好をした動物たちの塗り絵

・・・塗っているうちに思いがけないものが隠れていてワクワクします。

🖍お姫様の塗り絵

・・・とってもオシャレで女子には一番人気。

✏️お弁当の塗り絵

・・・ルンルンお弁当を作っているような気分になります。

🖍カエルが思い思いのファッション!?でおどけた格好をして並んでいる塗り絵。

・・・お母さんたちに意外と人気。

などなど・・

思い浮かべてみてもキリがないほどのバリエーションです。

アーティストオリジナルの塗り絵は手が込んでいてとてもユニーク。

見た瞬間に誰でも笑顔になります。

色が加わるほどに

プレイルームも色鮮やかに

そして賑やかになっていきます。

Only Too Mari 

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