〜お医者さんがボケ役に?〜

来週はいよいよ、かつて勤めていた院内学級のある世田谷区の病院で6年越しの開始です。

教員最後の冬、ボランティアルームに拙い企画書を持って行ったけれどあっさりと門前払だったことを昨日のように覚えています。

出鼻をくじかれ、すごすごと退散しましたが、この苦い経験をバネに、2年後にはこの病院の最上階にある”赤い絨毯敷きの総長室”へ直談判に行くという強行作戦を実行したのが懐かしい。

緊張のせいか、慣れない毛足の長い絨毯のせいか、足を取られつんのめりながら豪華応接テーブルにたどり着くと、その先には小さく見える総長さんの顔。

思い切り声をはりあげないと声が届かないくらい広い応接間です。

私の必死の訴えに、総長さんが、

「是非!」

と笑顔で頷いてくれ、天にも昇る気持ちを急降下させたのは事務方。

ボランティアは管理が大変なんだよ・・。

ということで今回も却下。

ちなみにあれから3年後・・「是非打ち合わせしましょう!」

と連絡が来て改めて「今度こそ!」と意気込み、「あれから実績も積みましたよ~」という得意な気持ちと説得材料を抱えて勇んだものの、またまたお蔵入り。

そんな病院からこの夏、連絡が入りました。

「今度こそお願いします」

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4度目の正直でやっと始められる懐かしい病棟のプレイルーム。

初回は大道芸人と行く予定です。

・・・ここからが本題・・・

大道芸人といえば、笑いの達人。

少し前にこんな活動のアシストをしてお腹が痛くなるほど子どもたちと笑ったことが何度かあります。

活動に参加している子どもたちの笑顔を見て、

「おお!楽しそうだな。じゃ、処置は後にするか」

そんなお医者さんたちの決断に、子どもたちは、

「よっしゃ!」と大喜び。

「それにしても面白そうだなあ・・。いいなあ」とお医者さん。

すかさずアーティストは、

「それならドクター、一緒にいかがですか?」

と誘います。実は、これはアーティストが仕掛けたワナ。

大道芸人は何が一番ウケるかを、日々研究する笑いの専門家です。

医師が「しまった!」と気づくも、時すでに遅しです。

子どもたちもお母さんたちも、もちろん看護師さんたちも、キラキラの期待感を瞳に浮かべています。

もうやるしかない、という医師たちの勇気とサービス精神は、場を盛り上げるのに一役も二役も買います。

躊躇している医師には、子どもたちを裏切らないようにと、間をおかず半ば強制的に引っ張り込みます。

医師はかくして、大道芸のボケ役に抜擢されることになります。

普段痛いことばかりするお医者さんが目の前でツッ込まれ、しくじり、頭をかく。

子どもにとって大人の失敗は蜜の味ですが、ここ小児病棟ではまた格別です。

キラキラの瞳がいっそう輝きを増し、鬼の首を取ったかのように得意顔です。

そして今にも椅子から転げ落ちそうなほど、ゲラゲラと笑いころげ、お腹を抱えるわ、つっこむわ。

こんなに楽しいことはない、といった喜びようです。

医師は苦笑いしながらも、子どもたちの腹の底から笑う姿にホッとしています。

そんな場面に何度楽しませてもらったことでしょう。

お医者さんの隠れた芸の才能が開花。

お医者さんたち、ごめんなさい!