〜塗り絵が生む主体性〜

なにやらプレイルームはしんと静かです。

子どもたちはテーブルに向かって何かに集中しています。

宿題かな?

ふと見ると一台のテーブルに色のないmariさんオリジナル塗り絵。

もう一台のテーブルにはカラフルな仕上がった塗り絵が何枚も置かれています。

病棟の白い壁をポップに変身プロジェクト

プロデューサーManabe Mariさんの

塗り絵ワークショップはいつでも大人気。

ただ白い画用紙に絵を描きましょう、

では取り掛かりにくいし、

描くことに苦手意識のある子はまったく楽しめません。

塗り絵というある程度の枠組みがあって、あとは自由、

というスタイルは子どもたちが選ぶところから楽しめる

人気の活動です。

絵を選ぶ。色を選ぶ。デザインを加える。

ここまでは全員が夢中の静かな個人活動。

塗るほどに子どもたちは自分の世界に没頭している様子です。

そして出来上がった作品を、友達と見せ合う場面から一気に賑やかになります。

作品がコミュニケーションのツールになって、いろんな展開があるのが制作活動の特徴です。

その時間が終われば作品をベッドサイドに飾って楽しんだり、夕方面会に来た家族に今日あったこととして話題にしたり。

男の子の人気は、

✏️カブトムシの塗り絵

・・・世界中のカブトムシが図鑑のようにズラ~りと並んでいますが、リアルでもありどこかポップなタッチ。

女の子の人気は、

🖍ハンドバッグの図鑑

・・・ハンドバッグのデザイナーになったような気分。

✏️お茶目な格好をした動物たちの塗り絵

・・・塗っているうちに思いがけないものが隠れていてワクワクします。

🖍お姫様の塗り絵

・・・とってもオシャレで女子には一番人気。

✏️お弁当の塗り絵

・・・ルンルンお弁当を作っているような気分になります。

🖍カエルが思い思いのファッション!?でおどけた格好をして並んでいる塗り絵。

・・・お母さんたちに意外と人気。

などなど・・

思い浮かべてみてもキリがないほどのバリエーションです。

アーティストオリジナルの塗り絵は手が込んでいてとてもユニーク。

見た瞬間に誰でも笑顔になります。

色が加わるほどに

プレイルームも色鮮やかに

そして賑やかになっていきます。

Only Too Mari 

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〜点字本と点字絵本でお話会〜

朗読家、川島昭恵さんの活動をアシスト。

昭恵さんは幼い頃に感染症が原因で視力を失ったアーティストです。

最初にアシストした時の感動を

リリカルなエッセー仕立てにしています。

→2017/8/19投稿「~美しい心~

活動に行くときは中間地点の駅改札で待ち合わせます。

駅までは白杖を頼りにバスに乗ってくるのです。

「平気平気。いつも乗ってるから」

「渋谷から乗るときは障害者の支援員と言えば半額になるから忘れないで運転手さんに言おうね」

とひたすら明るい。

待ち合わせしている相手に会うまでは不安だろうな。

前の日にメールで再度場所と時間を確認するけど、

それでも私だったら不安で仕方ないだろう。

いたいた、改札の内側で待ってくれている。

「昭恵さん!」

そう呼ぶと

ふわっと安心したような明るい表情に変わって嬉しくなります。

そこからは

私の右腕を掴み、

世間話に花が咲くのがいつものパターン。

先日の朗読ライブでの様子。

頑固なお父さんに手を焼く日々のこと。

「そういえばこの間新聞の取材を受けてね」

生き生き楽しそうに話す昭恵さんといると

心がいつも綺麗になる気がするのはなぜでしょう。

さて活動が始まります。

「私ね、目が見えないんだ。私は字を読むのではなく点字を読むの。

点字って知ってる?」

そう言いながら点字本のブツブツを触ってもらいます。

朗読が始まると

子どももお母さんも

それを指でたどる姿に感心しながらストーリーの中に入っていきます。

言葉の出ない子どもにも、ゆったりと話しかけながら何かしらの反応を待ちます。

空気の動きを感じとると、

「めくるね」と優しく声かけしてページをめくります。

声のトーンやスピードは空気の動きを感じながら

変化をつけていきます。

そんな昭恵さんの活動報告書に寄せてくれた感想を紹介します。

ベッドサイドを巡り、最初は二十歳の男の子に点字で

「少年と子だぬき」を聞いてもらいました。

彼はほとんど目を閉じていたようですが、物語の中で子だぬきがしゃべるところ

や、歌のとこなど、目を空けて聞いてくれてたようです。

言葉は言わなくても、心で感じてくれているのを感じました。

それから

「こんとあき」

「のんたん」

 

「しろくまちゃんのホットケーキ」

「グリとグラ」

「大きなかぶ」

「ととけっこう ヨガあけた」等を、

ベッドサイドで聞いてもらいました。

どの子も声はあまり出しては貰えませんでしたが、松本さんが

「絵に手を延ばしていたよ」とか、

「絵を見てるよ」とか

「昭恵さんの顔を見てるよ」

とか教えてくれて、

そういうのを聞くと、私はとても嬉しくなりました。

絵本を読みながら話しかけると、

答えは聞こえなくても、

頷いていてくれるように感じて、

今の穏やかな温かい時間を一緒に過ごせることが

とても大切な時間に思えます。

点字にも興味を持ってくださったお母さんがいらして、

とても嬉しかったです。

困ったことは、

自分がどっちを向いて話すといいのか、

絵本をどう持ったらちゃんと見てもらえるのか、

それは毎回いつも分かりません。

今日は一緒の松本さんが

さり気なく修正してくださったり、

教えてくださったので、とても有難かったです。

私にはそういうサポートがいつも必要なのです。

私とご一緒してくださる方には

是非ともその点をよろしくお願いいたします。

昭恵さんの読む顔をじいっと見つめてその表情から目を話さない子どもたち。

真っ白い点字本を読む昭恵さんを

不思議そうに

そして

すごいなあ

という風に。

見えなくても話せなくても

そこには豊かな対話が確かに存在しているのです。

昭恵さんをアシストするときは

いつもと違った感動が必ずあります。

美しい心1

美しい心2

〜院内学級で出会った子どもたち〜

本の原稿を書きながら、

院内学級で出会った子どもたちのことを思い出しています。

教室での授業、ベッドサイドでの授業、

放課後の病室訪問・・・。

宿題がわからないと職員室を訪ねてくる生徒もいて、

病院にいるあいだ中ほとんど

彼らと過ごしたと言っていいくらい

濃密な関係だったように思います。

学級で関わる時間は短い子で数週間、

長い子で数年です。

もちろん今でも連絡を取り合う子もいれば

団体を手伝ってくれる人も。

お母さんとのお付き合いも続きます。

子どもたちは学びを通して自分の存在を実感します。

仲間たちは元の学校で変わらない毎日を過ごしながら

日々学習していることを思い描きつつ、

場所は変わってしまったけれど

一緒に勉強しているのだという意識が、

自分の存在の証となり、

闘病への活力になります。

治療を頑張って、早く前の学校に戻ること・・

それが子どもたちの指針となります。

そんな彼らは一般的に思い描かれるような

”闘病中の子ども”のイメージとは

かなり違っているように思います。

苦しみや寂しさ、不安など心の内側と折り合いをつけながら、

限られた環境の中でいかに楽しむか、

自分らしく過ごすかを工夫します。

そして学級の仲間たちとともに学ぶことで自分というものを確かめているようにも思えます。

病気と闘いながら

頑張れる自分に誇りを持っているかのように見える瞬間を

いくつも発見しては、

彼らの素晴らしさに心を打たれたものです。

子どもには、どんな状態でもたくさんの可能性があり

大人には太刀打ちできないほどのたくましさがあります。

そのような本来の子どもの特徴に加え、

幼くして困難と闘っているからこその

力強さ、

そして優しさが、彼らにはあります。

子どもたちに教えてもらった大切なこと・・。

そんなエピソードを本の中でいくつか紹介しようと思っています。

心臓移植を待つF君とのこと。

小型の冷蔵庫ほどの大きさの人工心臓をつけながら渡米を控え前向きに生きる姿に胸を打たれ、

小児の臓器移植という大きな課題に向き合わせてくれました。

また、3歳から入退院を繰り返し、

「医者になる」夢を置いて旅立ったJくんとのこと。

院内学級で出会った子どもたちとの思い出は

私にとって大切な大切な宝物です。

時には涙をにじませ、時にはうっとりとしながらの

原稿書きは

遅々として進みません。

しかしそんな時間こそが一番豊かなひと時だと思っています。

溢れる思いを一つひとつ確かめながら文章にしていきます。

小児病棟の壁を明るくポップに!貼るワークショップ

たくさんの方からの共感と支援のもと

達成したクラウドファンディングにより

子どもたちと取り組むウォールアート。

今日はいよいよ壁に貼るワークです。

色を選んで塗る楽しみ

自分だけのデザインを施す喜び

イニシャルをちょこっと入れて・・

ステッカーに加工されるのを待つワクワク

そしていよいよ

自分のアートを

病棟の白い壁に貼るドキドキ!

まずはステッカーに仕上がったものを搬入した時の現場の

うわ~っ、素敵!

という歓声が嬉しかったスタッフ。

このアートは日頃の活動で病棟を盛り上げている

SHJ登録アーティスト

only-toomariこと

mari manabeさんの塗り絵をモチーフにしています。

今日は待ちに待った

みんなで貼るワーク。

真鍋さんのセンスと指示のもと、

子どもたち、

SHJ理事2名、アシスタントボランティア1名、

そして病棟保育士さんやお医者さんも一緒に賑やかに

“これはここ”

“それはもう少し上”

“これは少し右ね・・”

“それはもうちょっと左のほうがいい”

などとワイワイ言いながら

貼っていきました。

貼るほどに患者さん家族も病棟スタッフも

集まってくれ

歓声をあげて

そんな様子が嬉しくて仕方ない!

🖍 ✏️ ✂️ 🖍 ✏️ ✂️

病棟といってもシーンは様々です。

1 病棟の入り口扉は海中をイメージ

これは病棟保育士さんによるアイデアです。

この病棟の入り口はガラス扉なので外からも内側からも見ることができます。

ここに子どもたちやお母さんたち、そして保育士さんが

自由に塗りデザインしたたくさんの魚を貼ります。

開くたびにガラスが重なるから

海藻の間を魚が泳ぎ回るかのように見える仕組みです。

ここなら病棟の外からも見えるから

退院して外来の時に見に来ることもできます。

2 プレイルームの外廊下は愉快な街

何か隠れている・・

そんな楽しい絵を麻里さんが描き壁画にしました。

3 無菌室へ向かう廊下の天井を明るく楽しく

こここそ、病棟スタッフのたっての希望です。

小児がんで入院する子どもが少なくないこの病棟。

治療を受けながら病室で過ごし、

骨髄移植が決まったら無菌室へ移動します。

ストレッチャーに乗って無菌室へ運ばれる、

そんなときに、目に入るのは

白くて所々しみついたような天井だけ?

いえ、

あ、あそこに何か隠れている

あ、ここに未確認飛行物体が!

こういったいろんな仕掛けがあれば・・。

4 移植室外に大きな木!

子どもたちに最大限に寄り添う医長さんの強い希望です。

無菌室では、いつも以上に身体的自由を制限され

とても長く孤独に感じられる時間です。

そんな場所で辛い移植を頑張った自分を讃える・・

そしてこれから移植を受ける子へのエールを・・

果物形のステッカーにメッセージして木に貼り足していきます。

5 手術を終えた個室に温かな絵を

ゆっくりじっくりと回復を待つための部屋には

パステル調の色で優しい動物の絵をモチーフにしたステッカーを貼ります。

これら全て、

SHJアーティストmari manabeプロデュース

子どもたち、お母さん、病棟スタッフ、の

コラボレーション。

全国の病院に広げていきたいプロジェクトです。

12/26 クラウドファンディング成功ありがとうございます。

2/2 病棟の白い壁をポップに変えようプロジェクト進行中!

mari manabe ホームページ Only Too Mari

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〜本を書くということ 2〜 

2月後半に決まった出版。

プロフェッショナルアートを通した全人医療を提言したいと意気込んでから1年半。

せっせと書き綴ったものを本にする企画書がついに出版社の目にとまりました。

英治出版

思えばずっと憧れていた出版社でした。

院内学級教員の頃、国際理解教育の授業で

児童労働が先進国を支えているという側面

をテーマにしたことがありました。

その時の授業づくりの参考にしたのが

「チョコレートの真実」キャロル・オフ著

・・・カカオの実を収穫する子どもは、それが何になるのかを知らない・・・

チョコレートの原材料の収穫、生産と消費。それをを通した児童労働の実態や格差に迫る

危険を顧みずに取材した女性ジャーナリストの作品です。

この本を出版したのが英治出版です。

「社会を変えること」に人生を捧げる人の著書

を多く手がけます。

“誰かの夢を応援すると、自分の夢が前進する”英治出版スピリット(HPより)

ただ本を売るのではない

本を通して誰かの夢を応援したい

この理念に惚れ込み、勇気を出して企画書を送った結果です。

そんな出版社に企画を受け入れていただいたこと

これ以上光栄なことはありません。

自分が本を出す・・・

今でも夢を見ているようです。

しかし

自分に起こった数々の苦難と

与えられた試練は

全て1本の道につながり

さらに宝箱にしまった

宝石のような子どもたちとの出会いの数々が

みちしるべとなり危なっかしい自分を支えてくれ

今がありこれからがある。

そんなストーリーが

きっと

手に取ってくれる誰かの

励みに

そして

気づきになると

信じて書いています。

何をするにも自分に自信を持てずにいた私ですが

今回認めていただいたことが大きな励みになりました。

担当プロデューサーチームの助言と激励を受けながら

表現力を高めていけたら

と考えています。

これから数ヶ月

ブログや原稿などの素材を整理し書き直し

読みやすい作品に

仕上げていきます。

〜本を書くということ1〜