モンテッソーリと「環境設定」🧱

人間が自然の法則に従って成長していくのが乳幼児期。

しかし子どもを取り巻く環境は

都市化、機械化、さらにIT化によって

どんどん人工的になりました。

ですから子どもたちは

本来経験しなければならない

必要不可欠の経験さえできない環境に置かれています。

時間を戻すことはできないし

当然機械化やIT化による恩恵は計り知れないものです。

そんな時代にあって

人間の子どもが乳幼児期に経験しなければならないことは

意図的に経験させてやらなければならない。

その方法を生理学的根拠に基づいて教えてくれているのが

モンテッソーリ教育です。

こどもの生命を観察することから始め

子どもがよりよく生きるための支え

と言っていい教育法です。

例えば

✔︎ゲーム機の進化などにより

室内で電子画面を見、電子音を聞くばかりの時間

✔︎核家族化により小さい子の面倒を見る

おばあちゃんおじいちゃんの知恵をもらったり

手伝ったりと言った人間的交流の減少

✔︎利便性の発達によりボタン一つで操作簡単になった故

蛇口さえひねる事ができなくなった

✔︎遊びが変わり指先で細かな作業をしなくなったとか

✔︎外遊びが減り重たいものを運ぶための知恵や

バランスをとって歩くことなど必要がなくなってきている

このような環境のもと

生涯にわたる心身の健康の土台になる

基本が経験ができにくくなった今、

今から100年ほど前に

障害児教育から発した

モンテッソーリの教育方法は

まさに現代にこそ必要なのです。

何かのやり方を親や周りの大人が教える時

「子どもがやりやすい環境を整えること」

「ゆっくり見せること(提示)」

これがまずモンテッソーリ教育の基本です。

自分でするんだ!

という気持ちを大切に

最大限活かせすための環境設定。

そして

その気持ちに最大限応えるために

「してみせること」が有効なのです。

決して大人のペースでなく。

まるで自然の法則を人工的に作っているようですが

それが現代の子どもを取り巻く環境においては

必要不可欠ということです。

それは健常と呼ばれる子も

障がい児と呼ばれる子も同じです。

自分のベストを尽くして

「自分一人でできるようになった!!」

という至上の喜びを通し

子どもたちには

生きる喜びをたくさんもってほしいものです。

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スマイリングホスピタルジャパンの

重心児在宅学びサポートでは

モンテッソーリ教育の専門家が学習支援ボランティアに加わりました。

例えば、感覚により数の概念や文字を学ぶという

モンテッソーリの理念をかたちにした

感覚教具は

特別支援教育が専門の学習支援ボランティア手作りの

S HJオリジナルユニバーサルさんすうセット。

感覚教具は先に述べた

「子どもがやりやすい環境」作りに当てはまります。

そして

「ゆっくり見せること」

により概念やしくみを集中して体得

できるようにしています。

大好きなモンテッソーリ教育の理念

「子どもがやりたい!と思う環境設定」と

「子供のペースで・・」は、

スマイリングホスピタルジャパンの理念にぴしゃりと重なります。

それは

在宅障がい児へのアプローチ

そして

プロがファシリテーターに徹する小児病棟での芸術活動も然りです。

公益財団法人モンテッソーリ教育綜合研究所

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スペシャルニーズのある子どもと家族支援を考えるシンポジウム

昨日の日本財団でのシンポジウムは

医療的ケア児がテーマ。

医療の進歩により、多くの小さな子どもが救命されるようになり

その結果、たんの吸引、経管栄養、人工呼吸器、酸素などの

医療的ケアを必要とする

「医療的ケア児」

が増えている一方、

医療、福祉、教育、保育などの分野での受け皿は不足し

家族に大きな介護負担を強いる現状があることから

2016年6月3日に改正障害者総合支援法・改正児童福祉法が成立しました。

同時に「医療的ケア児」

という名前が一般的に使われるようになったことで

医療的ケアとともに頑張る子どもと家族の存在が

認知される大きなきっかけとなると良いなと思います。

医療的ケア児の数は10年前の約倍になり

人工呼吸器を常時つける子ども(0~19歳)の数は役12倍に膨れ上がったと資料にありました。

この数の急増により

社会が当事者の存在にもっともっと目を向ける

どころか、当たり前に共に生きる存在である

という意識変革が期待されます。

自分ごと、他人ごと

の前に

ノーマライゼーションが発達し

当然のように支えあう世の中が来たらいいなあと。

実際、

医療的ケアがあると

・たんの吸引

必要な時にすぐ吸引できるように常にそばを離れられない

・気管切開

管は詰まりやすい、抜けやすいことを前提に再挿入の準備の必要あり

・人工呼吸器

アラームがなるたびになぜ鳴ったのかを調査する必要

・経管栄養

流動食の注入(一日3~5回)水分の注入 片付け

・酸素

重たい酸素ボンベの予備を常に用意

流量や残量の管理

などで家族は疲弊します。

また、気持ちの上でも

障がいがある子ども

障がいがある子どもの親

というレッテルを社会から押し付けられている感覚

さらに当事者自身が

障がいがある子ども

障がいがある子どもの親

という立ち位置に自分を追いやってしまい

社会との距離を作ってしまわざるを得ないという現実もあります。

ここでシンポジウムでは

どの立場であっても

「決めつけない」

という言葉がキーワードとなりました。

家族にとって

病名に振り回されず

溢れる情報に溺れず

我が子が一人の人間として

何をしたいのかを見ることが大切。

家族も

障がい児の親、と自分をくくらず

自分に制限をかけず

やりたいことはやる。

無理だと「決めつけない」。

シンポジウムのクライマックスは

これらをさらに現実のものにできるよう

「頼る力の育み方」

と題して、

孤立しない社会づくりとみんなでかんがえるセッションがありました。

楽しんで子育てができるような取り組みや

施設の設立が全国で展開されています。

地域で安心して子育てができ

親が就労できるような

そんな社会を目指し

日本財団がその拠点づくりを推進しています。

何よりも

「『預かってもらえるだけでありがたい』

という当事者家族の声を聞くが

本当にそれでいいのか」

という登壇者の意見に

「我が意を得たり!」

と感じました。

この思い、

2018/1/17投稿「その先の支援」で述べています。

スマイリングホスピタルジャパンも

重い障がいのために孤立してしまいがちな

学齢期を過ぎた子どもの学習の継続を目的に

在宅学習支援事業を進めていきます。

学びサポート通信

■2017/12/11 医療的ケア児や重い障がいの子にお家で学習サポート!

■ 2017/12/12 ユニバーサルさんすうセット

■2017/12/28 重複障害児のこれから

■2018/1/12 重複障害児のこれから2

■2018/8/13 視線入力装置と映像楽器+SHJアーティストジャズセッション!

■2018/8/20 支援機器講習会

■2018/8/21 支援機器講習会でわかったこと

■2018/8/22 支援機器を使えばたくさん遊べる!

■2018/12/3 在宅ジャズセッション!

■2018/12/4 ベッドサイド授業の学習環境づくり

■2018/12/25 在宅学びサポートでの工夫

■2019/2/4 i+padタッチャーでセッションをリード!

■2019/2/7 学びに導く教具・教材・支援機器

■2019/2/19 ドラムが走る!

「学びサポート通信」続く・・。

日本財団ホームページ

日本歯科医師会 x 日本財団 TOOTH FAIRY

*SHJの小児病棟や施設にて推進する芸術活動はToothfairyの支援により行なっています。

 

〜ドラムが走る!〜

〈学びサポート通信〉

2/4投稿(「i+padタッチャー」でセッションをリード!)で紹介した活動について、

担当のシンガーソングライター石橋和子さんの素敵なコメントを紹介します。

🥁 🎹 🥁 🎹 🥁 🎹 🥁 🎹

このところ毎回、松本学習支援ボランティアのアイデア満載の機器と、

i+padなどの音楽アプリ(映像楽器)を使って

一緒に演奏できる方法を探ってきましたが、

今回はなんとH君自身が新しいタブレットを準備して待っていてくれました。

やる気満々のH君に、早速こちらも準備してきたプログラムをトライ。

今回は、動かせる手の指と足の指に一つずつ学習支援ボランティア特製のスイッチをセットして、

リズム楽器を中心にセッションしました。

実は、以前、曲の始まるタイミングを出す「カウント」を、

H君が同じ様な方法でドラムの音を使って

1.2.3.と出してくれて、

私が演奏を始めるという事をやってみましたが、

今回はなんと、曲中をドラムのリズムだけで

引っ張っていくという大変なエネルギーと

集中力を要する曲に挑戦しました。

曲名は今、映画「ボヘミアン・ラプソディー」で

大ブレイク中のクイーンのヒット曲「We will rock you!」。

いきなりハイレベルな曲かもしれませんが、

ドラムだけの曲は、他に思い浮かばなかった事もあります。

H君は、まだ病気が発症する前、

学校で鼓笛隊の太鼓を叩いた事があったそうで、

もし体が自由に動かせたらドラムを叩いてみたかったと、

以前聞いたことがありました。

その事もあり、

他の楽器が介入せずドラムだけで完結する曲なら、

リズムやテンポが多少揺れても

皆がドラムについていくという、

リード楽器の存在感を味わえるのではないかと思ったからです。

さて、私自身もクイーンの曲は初めてでしたが、

映画を観て感動して、俄然やる気になっていました。

まず、指のスイッチと足のスイッチで、

大きいドラムと小さいドラムの音色を分けて出してもらったのですが、

足のスイッチのタイミングが時差もあり、本人は納得しなかった様子で、

すぐさま同じ音色ながら、指のスイッチだけで、

例の「ドンドンチャッ」のリズムを作り始めました。

こういうところがH君の凄いところで、

そこにいたお母さんや松本さん達と一緒に、

3拍目に手拍子を入れ始めたら、

そこはもうクイーンのライブ会場!

見事に皆をドラムで引っ張って行ってくれました。

あまりにスムーズなので驚いたら、

お母さんもH君もクイーンは大好きだったらしく、

クイーンの曲を演ってみたかったそうでした。

H君が「楽しい!」と言ってくれて、

思わず「やったー!」とバンザイしました(笑)。

これがやりたかったんだ!と行ったHくんの言葉、忘れられません)

たまたま録音した音を皆で聞いてみたら、

H君いわくアニメで聞いて気になっていた言葉、

「ドラムが走る」

という意味を初めて実感できたとのこと。

「テンポがだんだん早くなる」と言う意味ですが、

健常者でもリズムキープは難しいのに、

そこまでこだわるあたり、

サスガだなあと感心しました。

他にも、前回好評だったブルースセッションや、

「冬の星座」や「ラストダンスは私に」など、

それぞれ違うリズムの曲も何曲か聴いていただきましたが、

その間も時々ドラムでリズムを取ってくれました。

いつもニコニコとポジティブなお母さんの影響かも知れませんが、

音楽に対する素養だけでなく、

機器の使い方の適応力やチャレンジ精神なども素晴らしく、

まだまだ様々なセッションの可能性を感じて次回も楽しみです。

🥁 🎹 🥁 🎹 🥁 🎹 🥁 🎹

今後、

メロディー楽器も使って、

一緒にメロディーを作っていく事にも挑戦したいと、

意欲満々のHくんと和子さんです。

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〜在宅学びサポートでの工夫〜

ー学びサポート通信ー

在宅学習支援「学びサポート」では、

算数

数量概念

文字学習

美術

音楽

を行なっています。

思うように身体が動かせない重度心身障害の子どもとの学習ですから、

🌀視線入力

🌀スイッチ操作

🌀目と手の協応

という方法で、一対一のちょうどいいペースでコミュニケションを取りながら行います。

時にはお母様にも入っていただいて、本人にとってより適切な方法を見つけていきます。

視線入力とは・・・

今から6~7年前までは大変高価で家庭で使用するには現実的でなかった視線入力装置。

今では重度障害児者の日常のコミュニケーションに活用され、

視線入力をうまく使うとシューティングゲームができたり、

マウスとして使えたり、操作しながらアプリを使って学習もできる優れものです。

この視線入力装置トビーは、SHJ在宅の学習にもはや欠かせなくなっています。

音楽の時間は視線でコードを選んで支援ボランティアの演奏とセッション。

そして子どもたちの大好きなシューティングゲーム「風船割り」は定番。

ランダムに風船が出てくる設定にし、覚醒を促し、

その後一つ一つ風船が出てくる設定でじっくり行うことも可能。

普段からできるように、ご自宅のパソコンのソフトをアップデートすることも学習支援に欠かせないことです。

スイッチ操作とは・・・

主に、ピエゾスイッチというものを使っています。

「ひずみ」や「ゆがみ」を感知し、出力を促すものです。

まぶたや頬などわずかでも動かすことができる身体の部位に貼ります。

意思を伝えたい方のコミュニケーションにとても有効です。

お母様がご本人のまぶたの上に貼り、感度を調整すれば、瞬きをする動きで操作できます。

この作業自体が親子のコミュニケーションに一役買います。

思うように身体を動かせない方にとって、スイッチをいろいろな場面で活用すれば、「伝わらない」というもどかしさやストレスが大幅に軽減でき、世界も広がるでしょう。

目と手の協応とは・・・

モンテッソーリ教育(→2017/7/7投稿「モンテッソーリ教育とは」)の考え方に基づいた、

数の概念や文字の音と形を手の感覚を使って体感しながら学習するものです。

数の棒や、ずっしりと重みのある素材で作ったパズルをはめ込んでいくことで、数の概念を身につけます。

立体コピーでの文字なぞりは、実際に凹凸やザラザラ感を実感しながら形を学びます。学習が進むと声も出てきて手の動きが良くなることも。

まず文字をゆっくり、繰り返しなぞります
支援員の掌に覚えた形を書いてみます

美術は、素材を感じながら自分のペースで行う物作り。

素材とアーティストのファシリテーションが、目と手の協応を促し、創造活動が進みます。

これら目と手の協応教材は学習支援ボランティアの手作り。その子にあった大きさ、見え方に合わせた色にも工夫しています。

障害とひとことで言っても100人百様。

教材作成はどれも時間をかけた地道な作業。

一人一人違うことへの対応をどう広めていくか。

目下の大きな課題です。

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〜ベッドサイド授業の学習環境づくり〜

 決め手は角度!そして教員の手がフリーになること。

院内学級にいた頃、ベッドサイド授業、というのがありました。

安静第一の状態であれば、当然、授業はお休みします。

でも、体調がすぐれないけれど、医療面で問題がなく、

負担のかからないペースで個別に学習できる状態の子どもには、

ベッド脇で授業をします。それがベッドサイド授業。

もちろん、いくら医師が勉強できる状態だよ、と言っても自分の体調や気持ち次第で

お休みすることもあります。

座ることのできる子はベッド上に座ってベッドテーブルの上に教科書やノートを広げて。

けれど、

体調が悪いけれど学習する意欲がある・・。

先生と話だけでもしたい・・。

という子もいます。

そんな生徒とは、教科書を読んで聞かせたり、意見をゆっくりと話し合ったり。

または世間話で少し元気が出たり、好きな芸能人の話で盛り上がれば

もっと元気が出る。

だけど、そればかりしているわけにはい来ません。

学校の授業ですから。

子どもはもとの学校に帰った時のことを考え、少しでも遅れをとりたくない、という焦りもあります。

その子の体調や気分と相談して、気持ちにいかに寄り添っていくのかが院内学級の教員にとって腕の見せどころ。

✏️ ✏️ ✏️ ✏️ ✏️ ✏️ ✏️ ✏️ ✏️

学習をしたいけれど、起きることが困難な子は他にもいます。

術後で固定されていて動けない。

足の骨を牽引中。

さらに、

重度の子どもだったら普段から医療機器をつけながら横になって生活しています。

褥瘡を防ぐために体位を変えてもらいながら一定の時間同じ向きで、という子もいます。

そのような状態で、教員はどのようにして教科書や教材を提示しているのでしょう。

多くの場合、片方の手で子どもの見やすい角度に調整しながら、もう片方の手でページをめくったりします。

そうなると、活動はそれだけで精一杯。

教員も肩や腕が疲れてしまうし、見やすい角度に固定するのもままならず、

不安定な状態になってしまいます。

そこで、SHJの「学びサポート」では、ベッド柵やサイドテーブルに固定するアームを使用しています。

上下左右だけでなく、微妙な角度に調整できるので横臥位の場合もその向きに合わせることができます。

もちろん、上半身を少し起こす場合もその角度に合わせられます。

スイッチだってこの通り!子どもの動かしやすい装置、環境を作ります。

視線入力装置トビーを使う時は、モニターの重さをしっかりと支えられる比較的大きなアーム(パソッテル)を使います。

現在の院内ベッドサイド授業ではタブレットなどが導入されているはずですが、こちらも”支える”ことに課題があるように思います。

文科省には、寝ている状態でも教材を提示し、子どもと教員がやりとりしやすい器具にも予算をお願いしたい!

病気や障がいと闘っている子どもたちへの学習支援とは、本人の状態に寄り添った、心地よく学習する環境作りがまず大事。

細かな工夫と配慮があって初めて、教員たちの教材も活きてくるのです。