内側からわかること 外側からわかること

当事者にとって何より有益な情報は経験談。

ということを前回書きました(1/31投稿「〜手をつなごう。」)

必要は発明の母、

同じ経験をした人が集まれるサイトが生まれ、

そこで経験したことを書き込んだり

助言したり

希少な病であればあるほど社会からの断絶感や

疎外感を抱いてしまうものですが

ここに来れば仲間がいる

そんな場所は

ネット社会が望む理想の形です。

私には家族に小児がん経験者いるわけではない

でも関心を強く持つのは

かつて勤めていた院内学級で出会った

子どもや家族の日常に衝撃を受け

非力さに悔しさを覚えたから。

「子どもにがんがあるの?」

とその存在を知らない人も多いことに愕然としたこともありました。

という自分も、小児がんの存在は知っていても

これほどまでの苦労

我慢ばかりで子どもらしい活動がない状況

へ思いを馳せるどころか

想像を膨らます機会さえありませんでした。

しかし、自分の長期入院、機能回復期を経たあと

与えられた居場所で、自分の中で何かが動き出した・・。

そんな感覚の中で

何かできないか、とまず始めたのが

「雑用代行ボランティア」(2017/9 4投稿「SHJヒストリー母親向け雑用代行ボランティア」)

社会にこの病気のことを知ってもらいたいという強い気持ちはあったものの

広く訴えるという手段も、そのための知識も持ち合わせておらず

自ずと目の前の子ども、お母さんの少しでも力になりたい

と駆り立てられた結果でした。

そして行き着いたのが

「難病や障がいと闘う子どもたちと家族へ

芸術活動を通して日常を豊かにする活動」

最近はAYA世代とよぼれる思春期・若年成人のがんが増えてきました。

また治癒率が格段に上がった反面、小児がん経験者の半数が

晩期障害(晩期合併症とも呼ばれる後遺症)である

成長発達の異常、神経系の異常などを抱えて生きるという問題も多く

これに対応する制度も必要です。

そんな中、様々な形で子供達を支援する団体が活動しています。

サバイバー(小児がん経験者)の就労支援

小児がん啓発活動として写真展などの開催

小児がん経験者への給付型奨学金制度

医療用カツラを作るため自ら毛髪を伸ばして寄付する団体

専門医のいる遠方の病院への通院交通費支給

まだまだ他にたくさんの取り組みがあります。

思いは同じ。

当事者がともに情報交換する場所が「手をつなごう。」ならば

お手伝いする側も手を携えれば、さらに大きな力になれるだろう。

そんな呼びかけもしていけたらと思う。

退院してからのこと-1-

生死の境を彷徨い、奇跡的に取り留めた命。

今でも何が引き止めてくれたのだろう、とその力にふと感謝することがあります。

そしてあの頃を思い出したりします。

退院後、医師や優しい看護師に守ってもらっていた場所から放り出されたような寂しさに襲われたこと。

喜ぶべき退院なのに、

退院してからの試練は痛みより、

「どう生きるか」

を正面から突きつけられたこと。

だから、教員時代、治療が終わって退院し元の学校に戻る生徒を見送る時、あの頃の自分と重ね合わせて、100%喜んで手を振ることができなかった。

🌀治療により髪が抜けてしまった子。

・・・髪が生えてくるまで学校はお休みしたい・・・。

🌀退院後も通院治療は続き、薬を飲み続けることによりムーンフェイス(ステロイド剤摂取のために起こる顔が丸く、赤味を帯びた状態)のまま退院する子。

・・・退院、復学は苦痛だ・・・。

🌀しばらく身を置いていなかった場所に戻ることに引け目を感じる・・。

🌀体力的に不安・・。

🌀勉強についていけるのか心配。

🌀・・・

院内学級にいる間なら、周りの友だちは理解し合っています。

休み時間や病室で話題にし、互いに同じ思いを共有して仲間がいることの安心感の中に。

退院してからの不安は誰にでもあるはずだけど、それも仲間と喋って発散。

私たちは子どもが病棟や施設にいる間にアートを通して支援しているけれども、実のところ、私は経験を通して彼らの退院後のことも案じています。

学校で温かく受け入れられているかな、

友達は変わらず仲良くしてくれているかな、

体調は大丈夫かな、

晩期障害*で苦労していないかな、と。

元の生徒たちはみんな成人しているけど、今も連絡をくれる人もいて、どうしているかの報告が楽しみでもあり、心配でもあり。

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彼らの苦労は表面には見えてきません。

まず本人が試練を乗り越えたことで堂々と胸を張っていい社会に。

そして、闘病後の様々な悩みや心配事を温かく包みこみ支援する、社会ぐるみの態勢が欲しいものです。

健康な者は他人事とせず話したらいい。

「知らない、わからないから教えて。私に何ができるか」

当事者を敬う雰囲気が社会全体にあれば、人知れず苦労したり孤立したりすることも随分と減るはずです。

*晩期障害・・・病気そのものは治っても、放射線療法、化学療法外科手術などの治 療によってもたらされた副反応や病気そのものの影響が後々まで残 ったり、時には後になって新たにおこってくること。晩期合併症ともいう。

参考:晩期障害 がんの子どもを守る会

   デジタル大辞泉 晩期障害