つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

〜日本民藝館 日常生活に宿る美〜

目黒区駒場にある大好きな場所。

民藝運動の本拠として、思想家、柳宗悦氏(1889-1961)の企画設計により1936年に開設されました。

無名の職人達が作った民衆的工芸品を「民藝」と名付け、その普及と「美の生活化」を目指したのが柳氏らによる民藝運動。

運動に参加したバーナード・リーチや棟方志功の作品も常設されています。

緑豊かな駒場野に埋もれるようなその佇まいは、近代美術館の洗練さとは違う、品の良い奥ゆかしさと控えめさを醸し出しています。

庶民が日常何気なく用いた工芸品の中に宿る美しさを見出し、その審美眼を惜しげもなく公開しようとした創設者のこころねが重なります。

どっしりと落ち着いた建物は、周りの木々に溶け込んでいて風情があります。

純粋な日本の建築様式なのにどこか英国の木造建築のスタイル、ブラック・アンド・ホワイトを思わせ、学生時代が懐かしくなります。

ちょうど「日本人が愛した英国の椅子 ウインザーチェア」展が開催されていて、すべてのアンティーク椅子が漆喰と煤けた木材の色の対比とマッチしていました。

「美」とは眺めるだけで満足するものではない、生活の中に溶け込んでこそ、その意味がある・・・

家具や食器など生活用品が大好きで、そんな私の気持ちをすうっと受け入れてくれる場所です。

観葉植物やインテリア。色や形、配置する角度までこだわると不思議に一角がアートになり、心地よさを与えてくれる。

そんな私の生活の楽しみ方は、まさに柳宗悦氏の哲学と一致しているようで嬉しくなります。

展示品には極力説明を添えないというのがこの館のユニークな方針。

その訳は、知識で見るのではなく、直感の力で見ることが何よりも肝要である、という柳氏の見識によるものだそう。

知識の蓄積が苦手な直感勝負の私にとって、この点も深く共感します。

工芸品とは生活の知恵が形になったもの。でも機能美と一言では表せない温もりがあります。

日本民芸館。

閑静な駒場の住宅街から駒場野公園に向かう途中にあります。