つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

「新出生前診断」と「旧優生保護法」再び🤱

「新出生前診断」と「旧優生保護法」。

これは同じ命の選別に関わる人権問題として同時に議論されるべき

テーマだと常々思っている。

「出生前診断」とは

胎児の遺伝子に異常があるかどうか出生前に診断を行うこと。

陽性の場合、

「生まれてくる子どものことを知る」

「その後の生活への心構えを持つ」

のが目的だが

実際は産む産まないの決断を妊婦に迫ることになる。

「旧優生保護法」とは

知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に

本人の同意がなくても不妊手術を認めた法律(1948~1996)。

この2つのテーマが同じテーブルに載せられることのないまま

続けて別件で紙面にて取り上げられたことが何度かあり、

何か意図があるのかな、と勘ぐってしまう。

*****

先週のブログで、

新出生前診断が広がりつつあるという新聞記事を見つけ

その存在自体に反対だ、という意見を綴った。

→2020/6/26投稿〜新出生前診断 そもそも必要?

それは外でもない

命の選別につながる、というのが理由だ。

そしてその後すぐに

~強制不妊『医学会謝罪を』~

旧優生保護法 報告書で提言

という記事(6/25付東京新聞)を見つけた。

この記事によれば

「医学・医療関係者が旧法の制定に関与し、運用に携わり、

人権思想浸透後も法律の問題性を放置してきたこと」

への深い反省と被害者らへの謝罪を

日本医学会連合による旧法検証のための検討会の報告書で提言している、

という内容。

同様の法律により不妊手術が行われたスウェーデンやドイツでは、

国が被害者に正式に謝罪・補償を済ませているのに比べれば

遅すぎる対応への反省も欲しいところ。

いっぽう、

一昨年の2月にも、

~「出生前診断」と「旧優生保護法への批判」の矛盾~

というテーマで綴っているが

これも同じように

2つのテーマが続けて取り上げられていたため

その対比として矛盾点を書き記したものだ。

→2018/2/8投稿~「出生前診断」と「旧優生保護法への批判」の矛盾

ここでは

旧優生保護法が非人道的措置であることは明らかで

批判の的になっているにも関わらず

ほぼ同時に新出生前診断について取り上げられた記事では、

差別意識が根底にある安易な命の選別につながるという批判がありながらも

この検査を受けやすくしようとする動きに

矛盾を感じたのだ。

*****

さて

先週のブログで

この診断の必要性に疑問を持つ立場から

新出生前診断が実施できる施設を増やすことになった社会の動き

へのさらなる批判を綴ったが、

その直後に見つけたのが

旧優生保護法のもと

障害者らに強制不妊手術が繰り返し行われたことへの

日本医学会連合による謝罪というわけだ。

この2つの事象に

強い矛盾を感じているわけだが

だからこその対応への議論は

実は専門家の間で存在しているのでは、と思っている。

現に

今回の強制不妊手術に対する謝罪に続き、

将来への提言の中で

「出生前診断やゲノム編集など遺伝子治療の分野で

非倫理的な方向へ進まないために多方面からの検討が必要」

とある。惜しいところまできた。

「旧法と同様の事案が発生しないよう、

学会横断的な医学的・医療的判断を検討する組織の発足が望まれる」

とも。

全くその通りだと思うが、

命の選別につながる新出生前診断のさらなる普及を目指す流れ

との整合性は依然取れていないと言えないだろうか。

望むだけではだめ。

もう一歩進めて、

医学各分野横断的な倫理フィールドとして最重要とするべきで

命そのものに関わる人権問題として同じテーブルに乗せ

議論されるべきテーマだと繰り返し言いたい。

それが実現すれば

新出生前診断の必要性への疑問も明らかになってくるのではないだろうか。

*****

改めて私なりの新出生前診断が不要な理由は

命の選別につながることに加え

妊婦に寄り添っていそうで

実は出産を楽しみにするはずの妊婦に

多大なストレスと不安を植えつけているから、

ということも繰り返し訴えたい。

差別や分断を無意識に芽生えさせる要素にも

大いになりうる行為だという憂慮も忘れずに添えたい。

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