〜SHJヒストリー3 SさんはSHJの原点〜

東大病院の院内学級1年目の冬、脳腫瘍予後の重い後遺症と闘っていた中学2年生のSさんの容態が悪化。かねてからSさんは憧れの声優・田中真弓さん(ワンピースのルフィー役)に会いたいという夢を持っていました。

難病の子どもの夢を叶える団体Make A Wishを通して時を置かず、田中さんが病室に。

視力を失っていること、言葉が発せなくなっていることを伝えられていた田中さんは、ルフィーの声を録音した目覚まし時計をプレゼント。そしてしばらくルフィーと、いえ田中さんとSさんの心の交流が続きました。

Sさんとお父さんの喜んでいる様子は脳裏に焼きつきました。

その後、さらに悪化すると、Sさんの好きなことをたくさんしよう、ということになり、教員が代わる代わる愉快な活動を持って病室へ。

私の担当は、手先が器用で作ることが大好きなSさんと手芸を。

ネイルアートにも憧れているとお父さんから聞くと、私のいとこのネイルアーティストに通ってもらうことが実現。手や足のマッサージの後に丁寧に好きなモチーフで施術。見えなくても温かい手のぬくもりやマッサージの心地よさを感じ、爪に描かれていくさまを想像しながら、大満足の様子でした。仕上がっていく過程で、数人の教員が解説者よろしくコメントを投げるのもまた笑いを誘いました。

訪問者がいる間くらい息抜きを、などと考えるのは当事者意識に欠けるというもの。子どもの楽しむ姿が何よりの家族の励みなんだ、ということにだんだんと気づいていきました。

お母さんの大変さが身にしみていた頃、別の角度からの自問自答が始まりました。お母さんは、自分が忙しいのは我慢できる、でも子どもが当たり前に子どもらしい生活ができないのが一番辛いと。子どもには今しかない、という思いも。

だからこそ、今を大切に、今を充実させたい・・・。

そうだ、子どもがたくさん笑う、たくさんワクワクする、そしてたくさん夢中になる。そんな活動を繰り返しプレゼントできたら・・。ここがSHJの原点となりました。

お母さんの雑用の代行は対症療法、子どもたちをワクワクさせることは体質改善。親子の闘病生活を根っこから変えられるんじゃないかと。

代行は細々と続けつつも、本格的な創造的活動を子どもたちに届けるプランは膨らみました。いてもたってもいられないくらい。

これがいつの日か私自身の夢 Wishとなりました。

続く・・。

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