~時代を読む~

-東京新聞連載「時代を読む」-

このコラムが好きだ。

経済学者 浜矩子氏の歯に絹着せない辛口メッセージは

時代をバッサリと斬る!

という感じでスッキリするし

関西学院大学准教授 貴戸理恵氏の考え方には

深く頷き

我が意を得たり!

という描写が多い。

この貴戸氏の

先日のテーマ

「上野祝辞の意図」

はとても印象に残った。

上野というのはいわずもがな

女性学・ジェンダー研究で有名な

東大教授 上野千鶴子氏だ。

4月入学式直後の新聞に

上野千鶴子氏による

東大入学式祝辞全文が

大きく取り上げられ紹介されていて

やっぱり凄い人だ!

と思いつつそのままになっていた。

しかし今回貴戸氏が改めて紹介したことで再び

そうだ、そうだ、

個人主義、競争主義でなく

他者と繋がり、ともに助け合い生きていく

そんなことが当たり前の社会になるべきだ!!

と思った次第。

「あなたたちの頑張りを、

どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。

恵まれた環境と恵まれた能力とを、

恵まれない人々を助けるために使ってください」

というくだりに私も痺れたのだ。

著書「当事者意識」(岩波新書)で上野氏は、

「社会的弱者」における、当事者の自己決定権を擁護していて、

「できない、弱い、未熟」とみなされている人たちが

適切なケアを受けさえすれば、

「私が誰であるか、何をするかは私が決める」と

主体的に生きることができると語っているそうだ。

専門家や親の保護的な態度

「あなたのため」

「良かれと思って」

する行動はパターナリズムと呼ばれるが

この良かれと思って手出しをすることで

本人の力を奪ってしまうことが多い。

だから

「あなたたちの頑張りを、

どうぞ自分が勝ち抜く為だけに使わないでください。

恵まれた環境と恵まれた能力とを、

恵まれない人々を助けるために使ってください」

上野氏は、

あなたの頑張りと恵まれた環境、能力を

恵まれない人々のためにどう使うか考えなさい。

決してこのパターナリズムでなく

ケアを必要とする弱い存在が

他者との関係のなかで支えられながら権利を主張しうる

社会を構築するために使って欲しい。

ということなのだろう。

学生たちに向けての上野氏のメッセージ。

貴戸氏はそこから読み取れるのは、

「自分は勝ち組、という認識は

弱い他者への共感や連帯の感覚を鈍らせ、

果ては自分の中にあるかもしれない弱さへの想像力をも奪っていく。

それは孤独ではないか」

と伝えている。

「他者とともにあれ」というメッセージ。

とともに。