〜トータルなケア〜

小児トータルケアに関する研究会に参加する機会がありました。

今回のテーマは、退院後のフォローアップ。

緩和ケアの専門家や小児科医、看護師、そして現役の院内学級教員などか出席。

今回は小児がんの晩期障害や、サバイバーが社会生活する上での課題、フォローアップ外来の稼働状況とその対策が話題でした。

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スマイリングホスピタルジャパンの活動と直接関係はないけれど、ここでは院内学級の元同僚だったり、別の研究会で知り合った人との再開があります。また、新しい出会いにも期待して参加します。

もちろん、全人的医療を訴えたい団体の代表として、子どものトータルな成長を念頭に活動するわけですから、関連の勉強会にはできるだけ出席しています。

こういった会には、各地からチャイルドライフスペシャリストや看護師、病棟保育士も集まります。

病児の心に寄り添う立場の人たちです。

講演の合間の休み時間には知り合いを見つけては近況を話し合ったりして盛り上がる。それも楽しい時間です。

さて、今回は小児がん患者の退院後のフォローアップについて、3つの病院の医師が発表しました。

18歳以上の患者さんでも、晩期障害についてやフォローアップの外来があること自体知らない方が6割に達しているとの事実には驚きました。

サバイバーとして社会生活を送る上でぶつかる様々な困難へのフォローアップに課題が満載、というのがどこの病院でも共通したものでした。

入院中から退院後につながる課題として、治療前に精子や卵子の保存を家族が希望する場合、そのことの意味を本人にどう伝えるかが最大の悩みだとのこと。性教育が未熟な日本では、もはや医療者だけでは解決できない課題だというのが個人的な感想です。

「そもそもの部分」から変えていかないと難しいのだろうなという印象でした。

「トータルな全人的医療」に、アートが大きく貢献できることをいつか発表したいと考えながら帰宅しました。

退院してからのこと-1-

生死の境を彷徨い、奇跡的に取り留めた命。

今でも何が引き止めてくれたのだろう、とその力にふと感謝することがあります。

そしてあの頃を思い出したりします。

退院後、医師や優しい看護師に守ってもらっていた場所から放り出されたような寂しさに襲われたこと。

喜ぶべき退院なのに、

退院してからの試練は痛みより、

「どう生きるか」

を正面から突きつけられたこと。

だから、教員時代、治療が終わって退院し元の学校に戻る生徒を見送る時、あの頃の自分と重ね合わせて、100%喜んで手を振ることができなかった。

🌀治療により髪が抜けてしまった子。

・・・髪が生えてくるまで学校はお休みしたい・・・。

🌀退院後も通院治療は続き、薬を飲み続けることによりムーンフェイス(ステロイド剤摂取のために起こる顔が丸く、赤味を帯びた状態)のまま退院する子。

・・・退院、復学は苦痛だ・・・。

🌀しばらく身を置いていなかった場所に戻ることに引け目を感じる・・。

🌀体力的に不安・・。

🌀勉強についていけるのか心配。

🌀・・・

院内学級にいる間なら、周りの友だちは理解し合っています。

休み時間や病室で話題にし、互いに同じ思いを共有して仲間がいることの安心感の中に。

退院してからの不安は誰にでもあるはずだけど、それも仲間と喋って発散。

私たちは子どもが病棟や施設にいる間にアートを通して支援しているけれども、実のところ、私は経験を通して彼らの退院後のことも案じています。

学校で温かく受け入れられているかな、

友達は変わらず仲良くしてくれているかな、

体調は大丈夫かな、

晩期障害*で苦労していないかな、と。

元の生徒たちはみんな成人しているけど、今も連絡をくれる人もいて、どうしているかの報告が楽しみでもあり、心配でもあり。

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彼らの苦労は表面には見えてきません。

まず本人が試練を乗り越えたことで堂々と胸を張っていい社会に。

そして、闘病後の様々な悩みや心配事を温かく包みこみ支援する、社会ぐるみの態勢が欲しいものです。

健康な者は他人事とせず話したらいい。

「知らない、わからないから教えて。私に何ができるか」

当事者を敬う雰囲気が社会全体にあれば、人知れず苦労したり孤立したりすることも随分と減るはずです。

*晩期障害・・・病気そのものは治っても、放射線療法、化学療法外科手術などの治 療によってもたらされた副反応や病気そのものの影響が後々まで残 ったり、時には後になって新たにおこってくること。晩期合併症ともいう。

参考:晩期障害 がんの子どもを守る会

   デジタル大辞泉 晩期障害