〜医療的ケア スクールバス〜

 医療の進歩により、医療的ケアを必要とする子ども(以下、医ケア児)の数が増加している中、福祉、教育の面で対応が追いついていないことを何度も話題にしてきました。

特に、肢体不自由児対象の特別支援学校への通学手段であるスクールバスに、医ケア児が乗れないという理不尽さには許しがたいほどの怒りを感じています。

✏️医療的ケア児とは?・・・

医療的ケアとは家族や看護師が日常的に行っている経管栄養注入やたんの吸引などの医療行為のことで、医ケア児とは常時これを必要としている子どものことです。

0~19歳では全国で10年前の約1.8倍の、推計1万七千人余りいます。

✏️スクールバスをめぐる課題・・・

医ケア児は乗車対象外である地域が多く、その場合在宅訪問教育部門に籍を置くことになります。

東京都の訪問教育授業数は週平均6時間のみ。

バスを利用できたとしても、長時間の通学時間中に体調が悪くなり救急搬送となる場合もあります。

スクールバスに代わる手段として、自家用車で送迎する家庭も多いですが、運転中にケアが必要な状態になった時のために、もう一人付き添いが必要となります。

親の体調次第では自家用車で送ることができず、学校へ行けません。

さらに介護タクシーを利用する場合は、同乗してくれる看護師を家庭で見つけなくてはならなりません。

通学手段に行き詰まると、通学できる状態であっても登校せずに訪問教育を選択せざるをえず、

登校した場合の週30時間授業と比べれば、スクールバス可不可によりその違いは歴然としています。

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そんな現状を受けて、

2017/9/15投稿「医療的ケア児にもっと目を向けて!~」

では、まさに医ケアの必要なこどもがスクールバスに乗れないことによる学習の時間や機会が十分に保障されていないこと、さらに家族の疲弊について書きました。

追い詰められた医療的ケア児と家族の現状に行政は向き合っているか!?と。

2017/10/18投稿『医療ケア児と家族の現状~」

では、お母さんの24時間体制のケアにおける問題点。そして学校で行える医療的ケアの緩和の必要性について。

国は母の強さや正義感に甘えていないか!?と。

*学校で行える医療的ケア=特定行為(認定を受けた教員ができる学校での医療ケア)として、 口腔内の喀痰吸引 ・鼻腔内の喀痰吸引 ・気管 カニューレ内の喀痰 吸引、胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養を紹介し、それ以外は常駐の看護師が対応する場合と、多くは家族が対処する場合がある。

2018/5/15投稿「医療的ケア児と特別支援学校~」

では、医ケア児がスクールバスに乗れない現状を踏まえた提案を。

障害者差別解消法、合理的配慮は、子どもたちにとって、残念ながら今の状態では絵に描いた餅でしかない!!と。

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そんな中、昨年から東京都では今年度に向けて医ケア児用バスに対する予算を計上しようという動きがありました。

そしてついにそれが実現!

医ケア児専用のスクールバスの誕生です。

実際2018年度秋から都内の幾つかの特別支援学校で施行されています。

まだまだ慣らしの段階で、十分に行き届かない点や課題も多いかもしれませんが、まずは大きな一歩を踏み出しました。

医療的ケアの必要な子どもを持つお母さんたちの訴えや運動が、行政を動かしたのだろうと、頭の下がる思いです。

現状は把握できておらず、あらためて綴りますが、

昨年からここで度々発信していることが、少しでも届くべきところに届いていたら嬉しいです。

そんな願いも込めて、これからも子どもたちを社会全体で大切に育てていく社会の実現を祈りながら綴り続けます。

保育園に医療的ケア児クラス!

医療的ケア(以下医ケア)が必要な19歳以下は全国に約18000人いると言われます(厚生労働省2016年調べ)。

医療的ケア児とは・・・医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、 たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な障害児のこと(厚生労働省「医療的ケアが必要な障害児への 支援の充実に向けて 平成29年10月発行」より)。 

医ケアを要する未就学の子どもにとって、週に一度ほど通所できる施設はあっても、主な居場所は自宅で、活動範囲も極端に限られているのが現状です。

そんな中、画期的な取り組みを新聞記事で知りました。

2020年に開設する港区の保育園が医療的ケア児のための専用クラスも設けると。

医ケア児のクラスを設けるのは、公立の保育園では全国でもこの園が初めての取り組みと聞きます。

医ケア対応のために、点滴などのチューブをかけられるよう天井にレールが取り付けら、吸引器やその他医療機器用にコンセントが多く設置されます。

送迎用の駐車場を複数設けたり、福祉車両での送迎支援も行うとのこと。

特別支援学校のスクールバスにおけるシステムの問題点について話題にしたことがありました(→2017/9/15投稿「医療的ケア児にもっと目を向けて!」)。

しかし、今回のケースでは福祉車両での送迎が可能。

保護者または看護師が子どもの隣に乗れば体調が急変した時にすぐに対応できます。

これも少ない人数ならでは。定員の20名に達するまでには保護者も看護師も同乗できるスクールバスのシステムを作っていってほしいな、と思います。

保育園で成功例を作り、それが特別支援学校にも波及すれば、子どもの学習保障につながり、保護者の負担も減ります。

また、この保育園、

「集団生活が可能な医療的ケア児・障害児で、主治医の指示によって看護師が単独でケアできる子ども」

という基準があり、入所判定審査会で入園の可不可が決まるそうです。

グループ分け、というのはある程度仕方ないにしても、基準を段階的に設けてより個別対応のクラスを作り、多様な障がいに応えるようになったらいい。

せっかくの新しい取り組み、モデルケースとして同様の課題を抱える現場に画期的な変化をもたらすようになればいいなあ。

医療的ケアのある子に、集団生活が当たり前に送れるような保育園生活を!

学校介護職員制度の導入に物申す!

都立の特別支援学校の肢体不自由部門で学校介護職員制度が導入されたのは、私がまだ勤務中の2011年ごろだったと記憶しています。

その頃はへえ~そうなんだ。教員の負担を軽減するためなんだな、と浅はかな認識でした。

病弱部門にいて実感もなく、のんきなものでした。

そしてそのまま2011年度末に退職してしまったので、職員さんが現場の教員や子どもたちとどのような関わり方をしているのか、知らないまま過ぎました。

しかし、最近特別支援学校のあれこれに不服を漏らすうち、ふと介護職制度はどうなった?

とむし返し、さらに疑問に思うようになりました。

まず、国は、少子化に伴い教員数削減を進めています。36年までに約4万人削減!?!?もっとかな?

この動きは、用務職員、給食調理員など、民間委託化が進んだ時期とも重なるような気がします。

財務省の全くの乱暴な機械的計算としか思えません。

特別に支援を要する子供たちは増加し、発達障害の子どもや日本語を話せない外国籍の児童がこれからも増えていくでしょう。

さらにグローバル化や ITの進歩により教育課題も複雑化、多様化し続けます。  

障害の重い児童・生徒が増え、教員が介助に当たることが多くなっ てきたために 「外部人材」を利用する。

障害児教育において、教員数を減らして非常勤の介護士を雇う・・。

まったく予算削減ありき!数やお金の問題ではないのです。

肢体不自由児や重症心身障害児にとって、その主体形成や生活において、他者から介助を受けることは不可欠で、体を触れ合うという介助を通じたコミュニケーションが何よりも大切と考えます。

子どもと教師の関わりの全てが教育実践の重要な構成部分なのです。 

例えば、オムツを替える行為は重要なコミュニケーションの活動です。排尿の意思表示、訴える相手や場所の変化の認知、活動に応じた身体の構えや動き、衣服の着脱など、前後の行動との深い結びつきを意識できます。外せない学習です。 

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肝心の教員と介護職員の連携において・・子どもについての共有を図るための時間が不足し、共通理解を図ることがスムーズに行かない→指導のしにくさ+子どもが犠牲。 

教員の問題として・・この制度の導入が教員削減を伴って実施されているため、指導以外の業務が一人一人の 教員に重くのしかかる→教員の疲弊 。 

こんな問題も根底にあります。

【教育と「介護」を分けることにより 、介護職員は「介護」 を行い 、教員は授業に専念する】

が制度を導入した教育行政サイドの謳い文句。しかし実際には教員が授業に専念できるほど、現場に余裕が生まれていないどころか、特別支援についての甚だしい勘違いである。 

学校という現場で深く生徒と関わる教員が子どもを理解することは当たり前のことです。

肢体不自由児や重症心身障害児にとって、介助を通して心のふれあい、信頼関係、生活の練習があり、それはまさに教員がやるべきことです。

そこにたっぷりの時間をとるべきなのに、介助はむしろ指導の妨げになると考えている行政に、血の通った人間がいるのか!

寄り添いの気持ちや想像力が全くないと強く思います。

学校介護職員募集が民間の求人サイトにたくさん載っている・・腹立たしくなります。

この現状、もはや教育ではない!

学校介護職員制度、廃止すべし!!

特別支援学校と副籍制度

 昨日は、教育の機会確保、通学の安全確保という健常児にはあたり前にある権利が、障がい児には保障されていないということを書きました(→医療的ケア児と特別支援学校)。

おのずと地域に溶け込み、地域で交流する機会も失われます。

東京都で平成19年に始まった副籍制度はまさに「地域とのつながり」を目的にインクルージョンを進めようというもの。

東京都教育委員会ホームページによると、

「副籍制度とは、都立特別支援学校の小・中学部に在籍する児童・生徒が、居住する地域の区市町村立小・中学校(地域指定校)に副次的な籍(副籍)をもち、直接的な交流や間接的な交流を通じて、居住する地域とのつながりの維持・継続を図る制度のこと」

とあります。

しかし、実際に交流が行われたのは全国の公立学校で、

小学校 16%

中学校 18%   

高校  26%    (文科省調べ2016年実績)

という数字を見て愕然としました。

その理由の大半は、

「近隣に交流できる特別支援学校がないから」

      2017年10月30日 東京新聞朝刊より

さらに関連を調べようと都教委HPを見ると、交流事例紹介は平成27年3月発行まで。ガイドブックやリーフレットは26年3月が最新。都教委副籍制度充実検討委員会による「東京都における副籍制度の充実に向けて」は25年3月に中間まとめで止まっています。

昨日提案した、

「健常児の通う学校の3校に1校でもいい。専任の校長を置く特別支援学校を併設しては?」

というのはこの制度が機能していないから視点を変えて考えたもの。そもそも、いきなり交流というのも乱暴な話。普段からの関係性あってこその交流という観点からも副籍という発想を変え、1つの併設校に1つの籍を置く。煩雑な手続きも不要になるでしょう。

政府は20年パラリンピックに向けた行動計画で、

「障害者との交流や共同学習を各学校で推進する」

との目標を掲げていますが、その土壌すらないのが実態。

文科省の担当者は、

「行政の支援があれば、学校も継続的に取り組める。東京パラリンピックを最大の契機と捉え、交流を広めたい」

とのことだが、本気度、真剣さ、現実味が全く伝わらない。

いったい、その手立ては?

さらに付け加えたいことは、新聞に載っていた文科省調べの数値&交流が進まない理由が、普通校からの聞き取りにとどまっていること。特別支援学校の立場から是非調査してもらいたいと感じました。支援学校側が設ける副籍制度という角度から取材し、障がい児目線で記事を書いてもらいたいと。

「障がい児と触れ合うノウハウを持つ教員が在籍しているかどうかで実施に温度差がある」

との記述。非常に失礼な表現に感じるのは私だけでしょうか。

〜医療的ケア児と特別支援学校〜

胃に開けた穴から栄養注入するなどの医療的ケアを受けながら過ごし、言葉が発せない子どもたちも、学校に行けば表情は生き生きとし、体調が落ち着くことが多いものです。

友達の声や学校のおとを聞けば気持ちも上向きになるのでしょう。

そんなエピソードの一つを

5/12投稿の「奇跡が奇跡でなくなるとき」

で紹介しました。

しかし、重度の障がいを持つ子どもたちを取り巻く社会、行政の対応には折に触れ「現状を本当にわかっているのか!」と思わざるをえません。

新生児医療の発達で助かる命が増え、在宅の医療的ケアは増加しています。厚生労働省の研究班によると、医療的ケアが必要な0~19歳の子どもは推計で1万七千人余り、10年前の1.8倍だそうです。

特に十分な呼吸ができず、酸素吸入や人口呼吸器などの呼吸管理が必要な子が急増し、重症化が進んでいるとも。

また、在宅ケアを担うのは主に母親。

医療機器に囲まれ、十分な医療知識を持たない中、愛情を支えに長時間のケアを続けています。

夜中も、たんの吸引や褥瘡を防ぐための体位変換などのために、平均睡眠時間は4時間にも満たない。自分の健康に不安を感じ、腰痛、腱鞘炎、鬱などの自覚症状がある母親も多いといいます。

このような医療的ケア児や母親の事例は新聞でよく見かけます。

障がいのある子どもたちにとって、学校に通うのは一番の楽しみ。

特別支援学校は、医療的ケアを受ける子ども、寝たきりで発語のない子どもにとっても、先生や他の生徒との触れ合いや学び合いを通して情緒の安定や喜びがあり、社会性や体力を養う場所です。

医療的ケアの担い手、母親たちにとっても、気分転換、母親同士の情報交換、そして仲間との息抜きの場とも言えます。

特別支援学校への通学は主にスクールバスですが、医療的ケアの必要な子どもは対象外である地域が多いのです。そんな子どもは在宅訪問教育部門に籍を置くことになる場合が多く、東京都では週平均6時間の授業。利用できたとしても、長時間の通学時間中に体調が悪くなり救急搬送となる場合もあると聞きます。

ただでさえ、体験や主体的に活動する機会が限られている中、教育の機会確保、通学の安全確保という健常児にはあたり前にある権利が、障がい児には保障されていないのが悔しい。

障害者差別解消法、合理的配慮は、子どもたちにとって、残念ながら今の状態では絵に描いた餅でしかないようです。

障がいのある子どもたちが当たり前に学校へ通うためには・・ということにもっともっと行政は向き合ってほしい。実態を知ってほしい。

ケアを受けながらも子どもは日々成長するのです。

健常児の通う学校の3校に1校でもいい。専任の校長を置く特別支援学校を併設しては?

地域密着化することで長時間のルートをスクールバスで過ごす必要がなくなり、2割の活用にとどまっている副籍制度(地域の普通校と特別支援学校の交流制度(→10/3投稿「副籍制度、機能してる?」参照)が活発になり、ノーマライゼーションにも寄与できるでしょう。

実現させるためには看護師など医療者の配置、という大きな課題にぶつかるでしょう。十分な人材を確保し、学校で行える医療的ケアの緩和(→10/18 投稿「医療的ケア児と家族の現状」 9/15投稿「医療的ケア児にもっと目を向けて!」参照)にも着手してほしい。進歩する医療技術に伴う医療的ケア児の増加、そしてその対応は待ったなし。

改革を本気で!進めていかなくてはならないのは自明のこと。

教育問題の中でも最重要課題の1つだと痛切に感じます。