教えない授業~美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方~
愛媛県美術館学芸員 鈴木有紀著 英治出版
この本は
美術作品をめぐる対話型鑑賞
という手法を使って
「正解のない問いに向き合う力」
「異なる意見に耳を傾ける姿勢」
を育てるというテーマで書かれています。
美術鑑賞・・・
確かに正解はありません。
感性に訴える活動だからです。
それを授業にしようとすると
指導法が難しいだろうな
と思うし、
生徒にとっては
作品を見て感想を言いましょう
と言われても
・・・・・
まるで正解があるかのような錯覚を
生徒たちに抱かせてしまうのが今の教育かもしれません。
だから
思ったこと何でもいい
と言われても
漠然とした質問に答えが浮かばず
または
正解ではないかもしれない「自分の意見」
を言うことをためらってしまいます。
しかし、
問いかけの仕方を工夫することによって
子どもたちがどんどん手をあげて
発言していく
ということを実例を挙げながら
著者は述べています。
「感想を言いましょう」
では上述の通り子どもは戸惑います。
そこで
「作品を見て気づいたこと、見つけたこと、考えたこと、疑問でも何でもいいので話してみましょう」
という問い方をすると
どんな小さなことでも
気にせず気楽に発言するようになります。
そして
発言に対して
「なぜ?」
と聞くのではなく
「どこを見てそう思ったの?」
と聞くことにより
自分の考えが整理され論理的思考の土台が作れると。
互いの意見を聞き合うことで
新たな気づきや疑問が湧き、
活発な思考と発言のやりとり
学び合いが生まれます。
ここに対話型鑑賞の意味があります。
教えるのではなく
問いを投げかける。
誰がいつ描いた作品で時代背景は・・
といったような知識は
対話の中で必要な時に
活動が弾むようにするためのエッセンス
子どもたちを後押しするための材料
として
教師が伝える
または知っている子が発表する
という授業です。
先生は指導する人
ではなく
ナビゲーターだといいます。
少し前に書いた
「子どもの意見表明権」を
子供達がしっかりと行使するためにも
対話型の授業が
大きな力になりそうです。
→ 9/2 投稿「~子どもの意見表明権~」
美術作品でなくても
色々なシチュエーションの写真や場面を使っも
対話型のダイナミックな活動ができるのではないか。
それが実践ということになるのかもしれないなと
感じています。
さらに、正解のある
算数や英語、理科などに
どう応用していくのかな、
という私なりの問いを投げかけながら
読み進めてみます。