SHJヒストリー18 ~子どもから学び気づくこと~

SHJ設立に向けてインスピレーションをくれたのは、やはり院内学級の芸術科の教員たちです。

主要教科よりも断然!子どもたちの目が輝くのは創造力を駆り立てる活動。

その中で、教員生活7年間一緒だったのが声楽家のMariさん。

つくるのは比較的得意な私ですが音楽は全くダメ。Mariさんの美しい歌声が音楽室から漏れてくるたび、うっとりとしていたものです。

そんなMariさんのベッドサイド授業にアシストする機会がありました。

小学1年生のEくんは緩和ケアに入っていて、お父さん、お母さん、そして兄弟たちが個室に入ることを許されていました。ベッドの足元で何かが動いているのに気付き、ふと見るとまんまるの赤ちゃんがニコニコ笑っていました。ベッドの中は大好きな弟と、お気に入りのおもちゃでいっぱい。

我が子のために考えつくありったけの愛情を注いでいたお父さんとお母さん。穏やかなその姿は、今思うと、どこか覚悟を決めていたのだろうか・・・そんな時期でした。

リクエストには何でも応えるSHJアーティストとしても有名なMariさん。もちろん、音楽の授業でも子どもたちに人気のホットな曲をいつでもアップデート。楽譜さえあれば初見でも大丈夫。子どもたちが聴きたい曲をハミングしただけで、こんな感じ?とメロディーを即座に再現してあっと驚かす。音楽は楽しいもの。ここからスタートする授業です。

ベッドサイドでの授業では目の前の子にうんと寄り添うことができます。比較的体調の良い時は、弾き語りに合わせて体ごとリズムを楽しんだり思いっきり歌ったり賑やか。

そんな最中でもちょっとの変化も見逃さないのがMariさんのすごいところ。

この日、Eくんの体調の微妙な変化に合わせる彼女の対応を目の当たりにして衝撃を受けました。ゆったりと奏でるメロデーで、まるで痛みを緩和しているかのよう。医者以上にトータルに子どもを診ている印象です。

そんなMariさんの様子を見て、

これだ!この寄り添い。子どもをよく観察すること。子どもから学び気づくこと。

子どもの前でどうあるべきなのか。

大きな大きなヒント、大切なことに気づかせてくれました。

それはそのままSHJの理念となっています。

そんなわけで、Mariさんは立ち上げの頃からずっと頼りにしているメンバーの一人です。

Eくんのお母さんはといえば、忙しい子育て中に時間を作り、活動のアシスタントボランティアとしてSHJに参加しています。

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SHJヒストリー17 その2 〜こころは自由〜

白髭さんがSHJと関わるようになったきっかけは、ほかでもない「入院」。

私がNPOを立ち上げたことを知り、応援してくれていたが、忙しい学生生活を送る中、なかなか参加するまではいかなかった。そんな中、入院生活が始まり、術後落ち着いた頃に、退屈だから何か仕事させて!という嬉しい申し出があった。

ベッド上でニュースレターやホーームページを見て、SHJのことを知れば知るほど共感が深まり、何かしたい!という衝動に駆られたという。

数え切れないほどの困難、不条理、障がい、不自由が彼女を苦しめてきた。話を聞くことしかできない自分がもどかしかった。すべての苦労が彼女を強くしたのか。恨んだり卑屈になったりとは無縁で、寛容で人の痛みを自分ごととして共感する愛情やおおらかさが彼女にはある。

ふと、こんなくだりが思い浮かぶ。

「生きることから何を期待するかではなく、むしろひたすら、生きることが私たちから何を期待しているかが問題なのだ」

「誰もその人から苦しみを取り除くことはできない。誰もその人の身代わりになって苦しみをとことん苦しむことはできない。この運命を引き当てたその人自身がこの苦しみを引き受けることに、ふたつとない何かを成し遂げるたった一度の可能性はあるのだ。」

ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』

彼女はもうそんなことにはとっくに気付いていて、もはや精神の自由をありのままに謳歌しているかのようだ。

向き合うことに真摯で、そして自分に何ができるかを追究する。生きることに誠実だ。

花がたくさん咲いている病院のお庭をちょっとお散歩

選ばれた人なのかな、とふと思う。彼女はすべて受け入れている。

全宇宙にたった一度、そしてふたつとないあり方で存在している・・。

これがやっと成人したばかりの一女性の生き方。

愛すべき危なっかしさは、これからの社会経験が補っていくだろう。

成熟というのは生きてきた長さには関係ないのだ。

私も彼女を見習って、周囲がどうあれ「自分」を見失わずに生きていきたい。

白髭萌 Instagram

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SHJヒストリー17 その1~病室で社会貢献~

院内学級では担任をしたわけでも、直接教科を担当したわけでもないのに、なぜかちかしい間柄になる生徒がいる。

受け持ちの生徒と同室だったり、病棟へ行くとよく会う小学生だったり。

ベッドサイドで英語の授業をしていると、たまたまその時間に授業がない子どもや就学前の子ども、入院期間が短いために転校せずに病室で自習する子どもが興味深そうに集まってきたものだ。

「私、入院前は英会話スクールに通ってたんだ」などと言って参加してくる小学生も。

病室で余暇活動として手芸や工作をしていると、学年なんて関係なくその病室全体がクラフトサークルになったりして大いに盛り上がること、しばしば。

教員を辞めてからもう5年も経つというのに、そんな生徒たちの中でずっと仲良くしている子ども?がいる。5年前に中学生、高校生だったから今は立派に成人している人も。

そんな中に、スマイリングホスピタルジャパンの頼もしく強力な賛同者がいる。

大学休学中スタッフの白髭萌さん。

大手術後のリハビリ入院中。

病室が活動場所。

担当は広報。

ちなみに特技は手話。

SNSを使えばどこにいたって仕事はできる、と頼もしい。ネットを通したSHJの紹介方法や広がりについてフォローし、もっと良くなる、もっと広がる、もっとイメージが上がる・・と分析してくれている。Facebook、Instagram、ツイッター、ブログ・・・活動に興味がある人たち、知りたいと思う人たちに十分アクセスできてないのじゃないかと日夜、頭を使って工夫してくれている。若い感性はキラリと光っていてインスピレーション満載だ。

情報化社会が当たり前という中で生きてる若者には教えられることが多い。

私が二十歳の頃はワープロだってそれほど普及してなかったことを考えると、彼らの頭の構造はもはや時代遅れのおばさんのそれとは違う。

萌さん作 病室にて
モンスターのアートからヒントを得て病室で作りました。

そんな白髭さんの活動形態・・入院しながらの社会参加、社会貢献・・長期に渡り入退院を繰り返し、そして今も入院生活を送る彼女だからこそ、SHJの活動の意義を誰よりも理解している。

支援される立場から貢献する立場へ。

病院でSHJの広報活動をすることで、活動の認知を上げることはもちろん、同じような立場の人に、社会参加への希望を持ってもらえたら、と。環境に合わせるのではなく、だったらどうする?と柔軟だ。

SHJの新たな顔として、そして「病院で社会貢献」という新しいスタイルのパイオニアとなって発信していってほしい。

退院し、学生に戻り、社会生活を送る中で、この経験が大きな糧になることを確信する。

そしてSHJのスタッフとして少し距離を置いたところから見る目を養ってもらい、改めてSHJのなくてはならない存在となることを期待している。

・・希望を託せる若者がいる・・・・。

なんて幸せ!

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〜SHJヒストリー16 アーティスト第一号はコメディアン!〜

スマイリングホスピタルジャパン第一号の登録アーティストは院内学級のALT(Assistant Language Teacher)クラウディ。

彼はマジシャンでもあり音楽家でもあり、コメディアンでもある。

彼に最初に会う子は皆、その奇抜な風貌にびっくりします。でも彼の優しさはすぐににじみ出てきて出会う人をグッと惹き寄せます。

愉快なキャラクターが生む、変化の富んだ授業は最高に楽しかった!子どもたちのゲラゲラ、わっはっはの大笑いが止まらない。

英単語や文章をリズムに乗せて発声するジャズチャンツはノリノリ。自作のピクチャーカードを使った英会話ゲームはふざけっぱなし。そして英語でのマジックは不思議なクラウディワールド。

冗談なのか真面目なのかわからないうちにフレーズの学習をしている、そんな遊び心満載の授業は、時に他の授業の集中を阻むことも。どうせ気が散るなら、と隣で他の授業をしていた子どもたちも合流したりして・・・そんな柔軟なところが院内学級にはありました。

“Hey, come on!  Join us and have a good time!”  “Sensei, you too!”

なんて言われると隣の先生もなんだか楽しくなって子どもたちに”Let’s go!”なんて言っちゃう。

ワクワク合同授業始まり始まり。

そのうち、Senseiにお鉢が回ってくると、子どもたちはSenseiの英語に興味津々。

使いなれない英語を話そうとするSenseiの一生懸命さ。普段見せない一面に、清々しい気持ちになり心が温かくなったものです。もちろん、Senseiの姿は子どもたちへの良い刺激になりました。

間違えてもいい、子どもたちの前でも苦手なことにチャレンジする先生は本物。

ベッドサイド授業は、たいていおちゃらけて半分踊りながら病室へ入っていく。

やれやれ&ウキウキとついていく私。

もちろん、ベッドでの授業ですから安静を保ちながらの配慮はさすがクラウディ。穏やかな話しかけで始まり不思議なマジックで子どもの心を惹きつけます。付き添いのご家族にも笑みが生まれ、楽しい気分転換となっていたようです。

もっとも、私はといえば、「大変お騒がせいたしました」とご挨拶して退散したものです。

彼と1回2時間を共にすると、子どもが心から笑う瞬間を何度も目にすることができました。

これだ!この笑顔。

クラウディの存在がSHJへのヒントとなったのは言うまでもありません。

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 〜事務所でアート!〜

作っちゃった!

夢中で仕事するのもいいけど、ちょっと手を休めてスタッフと一緒にアートに夢中になる時間って大切。子どもたちがアートで元気になるように、事務方も事務所で子どもたちを思い浮かべ創作活動。音楽も制作も心を解放できる。生きてるって感じ。

いつの間にかおしゃべりも止まっているほど夢中になっている互いがおかしいような、ちょっぴり愛しいような。アートをしている時は自分だけの宇宙をのびのびと飛び回っている、そんな気がします。

写真はモンスターズのささゆう(佐々木優子)さんが手掛ける「モンスターになろう!」(新聞紙 被り物アート)の活動をアシストした時に教わったのを思い出し、そして自分なりに工夫して制作したものです。

この日は入院しながら広報を担当しているスタッフが、外出許可を取って事務所へ。モンスターやりたいね!ということになり、新聞紙をわんさか持ち出し、リサイクルアート。凝りましたね!初めて作るスタッフの作品は真ん中の人参を食べるウサギ。

ささゆうさんの活動にはとても素敵なエピソードがあります。

活動が終わる頃に手術室へ呼ばれることになっていた女の子。5歳か6歳だったと思います。

男の子たちは被り物や武器などを作りモンスターになって大騒ぎ。その傍ら、ぐずりながらプレイルームに入ってきたその子は「お姫様になりたい」と。

ささゆうさんはすかさずふわっと広がるスカートのドレスをつくりました。背中には大きなリボンを添えて。そしてお花のベルトにお花の腕輪。スカートにも自分で作った飾りととささゆうさんが作ったたくさんの花をあしらって、どんどん綺麗に変身していく自分を鏡に映してもらってうっとり。

看護師さんに聞いたところによると、活動後ドレスを着たまま、ぐずることなく手術室へ。

お気に入りのドレス姿でキリッと決意を秘めた表情の、困難にたち向かう少女。

凛とした姿はどんなにきれいだったかな。

男の子はといえば、作った剣でお医者さんを倒しにナースステーションへ!

病院や施設、在宅でのあれこれを浮かべながらアートに浸る。

そしてこれからの活動のことを考えるのは至福の時間です。

佐々木優子さんFacebook

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